ガーデニング上達のコツ

【バラのシュートを増やしたい!①】出ない原因と対策を詳しく解説

JUN

バラ栽培で「シュート」が大切!ってよく聞くけど、どうして?

シュートが増えることでお花もいっぱい咲くし、大切な理由は他にもあるんだよ。
シュートが出ない原因や増やすための対策を詳しく解説するね。

「今年はなかなかシュートが出ない…」

バラを育てている人は皆、一度は抱える悩みではないでしょうか。

今後の成長や花付きを考えるとちょっと心配になりますよね。

この記事ではシュートが出ない原因と効果的な対策について、私(バラ栽培歴20年)がベランダで育てているバラのシュートの画像を交えながら詳しくお話していきます。

この記事はこんな人におすすめ
  • シュートの見分け方について知りたい人
  • シュートがなぜ大切か知りたい人
  • シュートが出ない原因を知りたい人
  • シュートを増やすための対策を知りたい人

バラのシュートとは?

バラのシュートとは、株の株元や既にある枝から勢いよく伸びる新しく勢いのある枝のことです。

バラのシュートの見分け方

バラのシュートは「位置」「色」「太さ」「成長の速さ」に以下のような特徴があります。

バラのシュートの見分け方
  • 「位置」
    べーサルシュートは地面に近い株元から、サイドシュートは既にある太い枝の途中から出てきます。
  • 「色」
    シュートは赤みが買った色をしていることが多く、表面にツヤがあります。
  • 「太さ」
    他の枝より明らかに太く、力強い見た目をしています。
  • 「成長の速さ」
    短期間で勢いよく伸びるのが特徴です。

上の画像は私が育てているバラ”メルヘンツァウバー”の2025年5月の様子です。

矢印の先に2本のシュートがあります。

(左)4月に株元から出たべーサルシュート
(右)5月に既存の枝から出たサイドシュート

なぜシュートは大切なのか?

バラは株元や古くなった枝から新しくシュートを出すことで、株全体を若返らせることができます。

古い枝は年々老化し花付きが悪くなったり病害虫や環境への抵抗力が弱りますが、シュートが伸びることで株全体が活性化し、多くの花を咲かせ続けることができます。

バラのシュートが出る時期

バラのシュートが出る時期は大きく分けて以下の3つです。

  1. 春(3~5月)
  2. 初夏から夏(6~7月)
  3. 秋(9~10月)

春(3~5月)のシュート

シュートが一番出やすいのがこの季節。

バラが休眠期を終え最も活発に株が動き始める時期に、蓄えられたエネルギーが一気に放出され勢いのあるシュートが最も多く発生します。

上の画像は育てている”シャンテロゼミサト”の春のべーサルシュートの成長の様子です。
(左)2025年5月29日の様子 (右)左の画像の翌日、2025年5月30日の様子

ベランダの枠で高さをそろえて撮影していますので、一日の成長を比較できるかと思います。

写真の矢印がシュートの先端です。
一日で約10㎝ほどシュートが成長し、春のシュートの勢いがお分かりになるかと思います。

初夏から夏(6~7月)のシュート

6月は春ほどではないもののシュートが出やすい時期。

特に梅雨の湿気と適度な気温(25℃前後)が生育を加速しシュート発生を促します。

特に若くて元気な株や、春に適切な剪定や施肥を行った株は7月に入ってもシュートを出すことができます。

秋(9~10月)のシュート

夏の高温多湿を乗り越えたバラは、朝晩の涼しさが戻ることでシュートを出しはじめます。

株によっては夏の疲れから回復中でエネルギーが不足気味の場合もあり、春や初夏のような勢いの良いシュートは期待できません。

秋の開花に向けて伸びる細めのシュートが多い傾向にあります。

バラのシュートが出ない原因 5つを解説

バラのシュートが出ない主な原因を つ挙げ、詳しく解説します。

①根詰まり・根腐れしている

根詰まりや根腐れしていることで、根が十分に水分や養分を吸収できず、株全体の生育が停滞しシュートが出にくくなります。

シュートを出すには多くのエネルギーが必要で、株の力が弱っていると「まず生き延びることを優先」してシュートを出す余力がなくなります。

根腐れするほどの過湿はもちろんNGですが、一方水切れもシュートの発生を妨げます。
水切れによりシュートの先端が枯れこむことがあります。

シュートを出すためにも、水やりは「土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるまでしっかり」与えるようにしてください。

②病気や害虫の影響

病気(黒星病、うどんこ病など)や害虫(ハダニ、コガネムシ)による影響で樹勢が低下するとシュートが出ない原因になります。

病気や害虫によって葉が落ちて光合成ができなくなったり、根が食べられ栄養の吸収ができなくなることで、株の力が弱りシュートが出にくくなります。

③株元に日光が当たっていない、日照不足

日光とバラの関係において、シュートが出にくくなる原因は主に2つあります。

「日光」の点から見たシュートが出にくくなる原因
  1. 株元に日光が当たらない
    日光はシュートの芽を目覚めさせる役割を果たします。
    シュートがでやすい株元に日光が当たらないことはシュート発生を妨げる原因になります。
  2. 日照不足の環境
    十分な日光を浴びることでバラは元気な葉をたくさん展開し根の働きを活発にし、樹勢が増しシュートを出しやすくなりますが、日照不足の環境では樹勢が低下しシュートが出にくくなります。

植物は日光を利用して光合成を行い、そこで作られた糖を養分としながら植物が成長します。

特にべーサルシュートのように勢いよく伸びる新しい枝は大量の養分(光合成で作られた糖)を必要とするので、シュートを出し成長を促進するために日光の働きはとても重要になります。

④肥料の過不足、バランス崩れ

肥料は多すぎても少なすぎてもシュートが出ない原因になります。

肥料の過不足によるシュート発生への影響
  1. 肥料不足
    シュート発生や成長には多くの養分を必要とします。肥料が不足している状態ではシュートが出ない、または出ても細く頼りないものしか出ないことがあります。
  2. 肥料過多
    肥料濃度が高すぎると根が傷つく、いわゆる「肥料焼け」を起こします。
    根が傷つくと水分や養分を吸収する力が弱まり株の力が低下し、シュートが出ない原因になります。

元気なシュートを出すためには、肥料の「量」「タイミング」「種類(配合割合)」に気を付けることが重要です。

詳しい肥料の与え方については別の記事で解説する予定です。

⑤剪定不足

剪定不足がなぜシュートが出ない原因になるのか、以下で3つの点から解説します

剪定不足はなぜシュートが出ない原因になるのか?
  1. 古枝を残すことによる養分の分散
    剪定をしないと古くて花を咲かせない枝が残ったままになり、このような不要な枝にも養分を送られてしまいシュート発生のための養分が確保できない状態になります。
  2. 剪定不足により株元に日光が当たらなくなる
    先ほど③で述べたように、日光は株元に当たることによりシュートの芽を目覚めさせる役割を果たすので、剪定不足により株元に日光が当たらないとシュートが出にくくなります。
  3. 頂芽優勢による低い位置にある芽への影響
    「頂芽優勢」とは高い位置にある芽「頂芽」へ優先的に養分が送られ成長するバラの性質です。剪定をしないと既存の枝が伸び続け養分が集中し、株元や低い位置には養分が行き渡らずシュートが出にくくなります。

バラのシュートを出す方法 初心者さんでもすぐできる対策5つ

「バラのシュートを出したい!」

そんな時にすぐに行動に移せるカンタンな対策を5つご紹介します。

より効果のある別の方法もありますが、ここでは初心者でもすぐできるものに絞って解説しています。

バラのシュートを出す方法についてもっと詳しく知りたい人、もう一歩踏み込んでより効果のある方法を知りたい人は、下の記事を合わせて読んでみてください。

私が実際に行った対策とその効果を写真を交えて詳しく解説しています。

①日当たりの良い場所で育てる

鉢植えの場合は日当たりの良い場所にバラを移動します。
1日6時間以上直射日光が当たる場所が理想です。

壁や建物で日陰になっていないか、他の植物の影になっていないかチェックしてください。

日光はが十分に当たることで光合成を促し養分を作り出し、シュート発生のエネルギーになります。

②水やりを見直す

簡単そうで意外と重要なのが水やりです。シュート発生に直結するといっても過言ではありません。

水切れも過湿もシュートが出ない原因となるので、「根腐れせず、土が乾きすぎない」適度な水やりを続けることが重要です。

特に「毎日決まった水やりを続ける」のはNG。
ひとつひとつのバラを個々にチェックして、土の乾き具合に適した水やりすること。

鉢植えの場合は、春から秋の生育期は天候や気温によって朝と夕方の2回の水やりが必要なこともあります。

土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいしっかり与えることを心がけてください。

③肥料を適切に与える

シュートを出すためにはエネルギー源となる養分が必要ですが、与えすぎや不足とならないよう「土の量に見合う適切な量を与える」「生育期(真夏を除く)は月に一回与える」「バラ専用のゆっくり効く肥料を与える」ことでシュートが出やすくなります。

以下の記事では私が使っている肥料やおすすめの与え方を詳しく解説していますので、こちらも合わせて読んでみてください。

④花が咲き終わったらすぐに切り戻す

咲き終わった花をそのままにしておくと種を作るためにエネルギーが消費されてしまいシュートのほうに回りません。

花びらが散る前に早めの切り戻しをすることで株の体力温存につながり、シュートが出やすくなります。

⑤枝の高さを揃える剪定をする

バラのシュートが出ない原因の⑤のところで剪定不足を挙げましたが、適切な剪定はシュートを発生させるのに大きな効果があります。

ただ、バラ栽培の初心者さんは「どこで切っていいの…?」と不安になるかもしれません。

そんな時の考え方として一番シンプルなのは「枝の高さを揃える」ということです。

「枝の高さを揃える」剪定がシュート発生につながる理由としては、以下の2つがあります。

「株の高さを揃える」剪定がシュート発生につながる理由
  1. 頂芽優勢を制御する
    「頂芽優勢」とは高い位置にある芽「頂芽」へ優先的に養分が送られ成長するバラの性質です。
    高さを揃える剪定をすることで、成長が抑制されていた休眠芽が刺激され新しい枝として伸びる可能性が高まります。
  2. 剪定による株の活性化
    剪定は株に軽い刺激を与え、株全体の活動を活性化させます。
    高さを揃えることで個々の枝に均等な刺激が与えられ、シュートの発生が促されます。

ただし、高さを揃える剪定の効果は「剪定の強さ」「剪定の時期」「株の体力」によっても左右されます。

詳しくは以下の記事で解説していますので、剪定について詳しく知りたい人は合わせて読んでみてください。

終わりに

バラのシュートが出ない原因には日照不足や栄養不足、適切な剪定が行われていないなど様々な要因がありますが、日々の基本の管理を丁寧に行うことで必ず変化が見えてきます。

小さな積み重ねがバラの樹勢を高め、やがて元気なシュートが育つはずです。

日々の管理を楽しみながら、シュートを期待しましょう。

ABOUT ME
JUN
JUN
ベランダを楽しむ人
ベランダガーデニングから始まり、
フェンス等のDIY、栽培したハーブを料理に、
ベランダカフェでひとり時間を楽しんだり…
ベランダの楽しみは広がるばかりです。

経験をもとに「ベランダで四季を楽しむコツ」を発信しています。

●ガーデニング歴約20年
●大学生と社会人の母
●インテリアコーディネーター資格を取得
→ハウスメーカーでインテリアコーディネーターとして働く
→ヴィンテージジュエリーショップ運営(現在)
●petit sweet ガーデニング(双葉社)に掲載されました
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